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2020年12月10日

マレーシア、コタキナバルとサバ州経済の現状

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 マレーシアでビジネスと言えば、製造業や金融業、そしてエアアジアに代表される航空産業ですね。いずれもマレー半島を中心とした経済圏が頭に浮かんで来ます。クアラルンプールやジョホールバルには日本人も沢山住んでいますからね。今日ご紹介したいのはマレーシアの国土の6割を占める東マレーシア(ボルネオ島)のサバ州・コタキナバルの可能性についてです。

東マレーシアの玄関口コタキナバル

 2020年現在、コタキナバルへの国際線直行便は中国4路線、韓国2路線、日本・台湾・香港・マカオ・タイ・シンガポール・ブルネイ・フィリピン・オーストラリアから1路線飛んでいます。LCCの発達によりマレーシア国内路線も16路線と充実しています。コタキナバルはまさに東マレーシアの玄関口となっています。

日本企業が銅を採掘していたキナバル山

 東マレーシアの主要産業はパーム油・天然ゴムなどのプランテーション農業や林業、そして石油産業が挙げられます。この他にも実はボルネオ島は銅・鉛・亜鉛・金・銀などの鉱物資源に恵まれています。コタキナバルより北西に130キロメートルに日本企業が開発したマムート鉱山があります。1965年の国連が発見し、1975年に三菱金属鉱業・日本鉱業・住友金属鉱山等が約1億ドルを投資して開山しました。1999年の閉山まで日本に銅鉱石を供給し続けました。銅58万トン、金44トン、銀300トンが産出され(現在価値で70.7億ドル)、ロイヤルティとして連邦政府・サバ州政府に200億円(現在価値で1000億円)を超える額が支払われました。この鉱山開発により、道路網整備、雇用創出が進み、サバ州は大幅に人口が増加しました。現在、観光都市としても魅力を放つコタキナバルの裏には、このような日本企業による資源開発の貢献があったのだと思われます。

 現在キナバル山は世界自然遺産に登録され、ボルネオ島最高峰・マレーシア最高峰として登山客にも人気があります。私が訪れた2017年2月は残念ながら雨季に当たり、登山には不向きの季節でした。登山に興味がなくても、キナバル国立公園は一見の価値があります。コタキナバルからバスかタクシーに乗り1時間ほどで公園事務所に着きます。事務所からは複数のトレイルが整備されており、レンジャーが解説付きで案内してくれます。世界最大の花、ラフレシアや食虫植物のウツボカズラ等を見学することができます。また、公園の博物館では地質の展示が充実しており、マムート鉱山の鉱石を手に取って観察することもできます。

中国大陸に頼る経済

 さて、サバ州の州都コタキナバルですが、マレーシアの中でも特に華僑が多い街として知られています。街中では中国語と広東語が結構通じます。キナバル山のキナ(マレー語で中国の意)は中国を指すという説もあるくらいです。旧正月にはGong Xi Facai(恭喜发财)という、新年祝辞の垂れ幕が街中で見られます。東マレーシアが中国大陸と歴史的繋がりが深いことは疑いの余地がありません。

 近年中国からの観光客が年々増加し、インバウンド産業もコタキナバルの貴重な収入源となっています。しかし、古今東西、著しい中国大陸観光客の流入は事故や軋轢を起こすことも否めません。私が訪れていた2017年の旧正月にも30人の中国人観光客が乗る観光ボートがコタキナバル沖で転覆し、3名が死亡、6名が行方不明になるという痛ましい事故が起きました。コロナウィルスにより一時観光客の流入はストップしているものの、中国大陸との歴史的な繋がりから、東マレーシアと中国大陸の人・モノ・カネの移動は益々増えていくのではないでしょうか。天然資源以外に競争力のある産業がないところでは、経済が中国頼みになるのは世界的な現象です。私は仕事柄、そのような場所を訪れる機会が多いのですが、天然資源から得られる収入をテコに、競争力のある地場産業を育てることが世界共通の課題だと思います。日本でも北海道や沖縄の経済に、中国大陸からの不動産投資やインバウンドの影響力が高まっています。それ自体は悪いことではないのですが、中国マネーの依存症にならないためには、森林資源・鉱物資源の有効活用について今一度、議論があるべきではないかと思うところです。

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